終わり良ければ…

全て良し…とはいかないけれど … 日々の記憶を楽しい記憶に書き換えて終わりたい…

「埴原一亟 古本小説集」  山本 善行 撰 …… 今週の読書

f:id:meisyu3ie:20170903185334j:image(はにはら いちじょう)

雨降りの日曜日……

久しぶりに 自宅でゆっくりと 読書をしたい気分で、

選んだのが、埴原一亟。

この夏、夏葉社から出た新刊で、

戦前、戦中、戦後を生きた、無名な この小説家の埋もれた7編の作品を、

京都の古書店「善行堂」の店主、山本善行さんという方が選び、刊行されたようだ。

 

購入した直後に1度、読んでいるにもかかわらず、

他にも書棚には、買っただけで読んでいない本が結構あるにもかかわらず、

何故か手にとり、2度目の読了となった、不思議な魅力がある小説集だ。

 

さして、大きな事件や、衝撃があるわけではない。

生活者の視点から、

日々を生きることの、風味が溢れ出てくる。

実に、滋味掬すべき作品集だ。

 

作為なく、素直に、真実とか正論とかを、

感じたままに書くことがとても難しい時代。

その時代に即した考えでなければ、「性格異常者」と評され、

弁解すればするほど、作為ととられる、不信の時代に、

それでも、静かに、

急激に変化を遂げようとする時代の歪みを観察し、

ただ、自分の気持ちを見つめながら、小説として描き綴ったような、作品集だった。

 

物事は、見方や立場、環境などによって、どうにでも解釈できる。

そして、ささやかな幸福を味わうこともできる。

その、ささやかな幸福によって、人は生きられる。