終わり良ければ…

全て良し…とはいかないけれど … 日々の記憶を楽しい記憶に書き換えて終わりたい…

「江戸の家計簿」磯田道史 … 今週の読書

 

江戸の家計簿 (宝島社新書)

江戸の家計簿 (宝島社新書)

 

 

「江戸の家計簿」と古典落語

徳川家康が幕府を開いた当時、寒村だった江戸に、町つくりのために、三河駿河から大工などの職人が呼び寄せられた。

そして、支配階層である 武士の生活を支えるために、様々な商人たちも集まってきて、人口100万人を超える大都市が形成された。

そこに住む、庶民の暮らしぶりはどんなだったのだろう。

「江戸の家計簿」には、現代感覚に換算して、収入や物の値段、金銭感覚、娯楽などが

わかりやすく、興味深く 紹介されている。

意外に、大工の年収800万とは高給取りだなぁとか、

同心の年収300万って安っ!とか、

落語によく出てくる長屋の大家って、雇われの管理人みたいなもんだったんだぁ

などなど、新しい発見満載 ‼︎

 

古典落語を聞きながら、ふと疑問に感じることがある。

例えば、

・「大工調べ」に出てくる、大工の与太郎の滞納していた家賃、一両二分と800ってどれくらいなんだろう?

・「芝浜」で、拾った四十二両ってどれくらい?

・「時蕎麦」でごまかした1文は、どれくらい?

などなど......

当時のお金事情や、どういう時代だったのかを、

知識として、解ったうえで聞く古典落語はさらに面白い。

 

今以上の格差社会に生きた江戸時代の人々。

身分制度ゆえに忍ばなければいけないことや、

努力しても変えられず涙を飲むこともいっぱいあったはずだ。

だけど、その中から、名もない庶民の生活を切り取り、のぞいてみると、

人情や、何ともおおらかな笑いに満ちた、魅力的な人たちが飛び出してくる。

人間関係が希薄な現代、

江戸の人情が、疲れた心を、ちょっと和ませてくれる。

 

どの時代にも、暮らしやすさと 生きにくさは共存しているのだろう。

どの時代に生まれても、人には、今いる環境の中でそれなりに楽しめる能力があるのかもしれない。

 

江戸時代に生まれていれば良かったとは思わない。

今が決して「良い時代」だとも思わない。

しかし、人類の長い歴史の中で、自分が今の時代に生きていることを、

根拠はないが「良かった」と感じている。