終わり良ければ…

全て良し…とはいかないけれど … 日々の記憶を楽しい記憶に書き換えて終わりたい…

「こわれもの」浦賀 和宏 … 今週の読書

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ミステリーだということに、気付かずに 途中まで読んでいた。

前半は、「ヒューマン」的で、後半は「謎解き」的という印象…

裏表紙の 紹介文の最後の1行に書かれた 問いかけ …

「最後の1ページで あなたは何を想いますか?」

という 考えを刺激する投げかけに惹かれて、手にとった1冊だ。

 

人は、「こわれもの」だ。

・売れっ子漫画家の 陣内龍二は、婚約者を 突然の事故で 失って、こわれた…

   そして、自分の漫画のヒロインである、ハルシオンを 突然、作中で事故死させた。

   婚約者の死と 同じように、「唐突」に「伏線」もなく…

・そのことが、ハルシオンの熱狂的なファンである 三橋をこわした…

    三橋にとって、ハルシオンの存在は、かけがえのないものだった。

   ーーあなたは醜くない。弱くもない。

   ーー強い人は、美しいから。

   ハルシオンの、言葉は、外見にコンプレックスを抱き

   自信のなさや、居場所のなさを抱えている 三橋を支えていた。

   そして、陣内龍二への復讐(殺人)を決意させた。

・神崎美佐は、娘を自殺で亡くし、こわれた…

   恋人であった、陣内龍二から裏切られ、壊れ、自殺した我が子…

   娘が味わった、歓喜から絶望へと、一気に叩きつけられる、

   その筆舌に尽くしがたい 同じ苦痛を

   陣内龍二に味わわせるためだけに、残りの人生を 捧げた。

 

心を支えてくれていたものを 全て失う時、人はこわれる。

キレたり、逆怨みしたり、憎みすぎたり…

現代は、どうも極端にはしりすぎるように感じる。

人との繋がりが 希薄な 現代に生きる私たちは、

一つのものに依存しすぎているのではないのだろうか?

心を支えるものが、少なすぎる。

一つのものに依存すると、それを失う時、全ての支えをなくすことになる。

 

意図せず、誰かを 傷つけたり、誰かに、傷つけられることもある。

今までの人生の中で、どれだけたくさんの人を傷つけてきただろうか?

誰が、何に、傷ついているかなんて 知る由も無い。

 

人の心に無神経であっては、絶対にいけないと思う…

だけど…

壊れたものを 壊れたままにしておくのか…

       それとも、修繕するのか

何かに躓いて転んだ時、転んだままでわめき続けるのか…

       それとも、起き上がるのか

そこはもう、他の誰の責任でもなく、自分自身の責任だ…と思う。

 

運命を壊すことができるのか?

陣内龍二は、「死を予知することができる能力を持つ」と自称する女に翻弄される。

自分の死の予知を受け、苦しみながら、その死に立ち向かい、打ち勝とうともがく。

 

運命というものが、決まっているのであれば、それを変えることはできるのか?

そもそも、運命は決まっているのか?

 

もし決まっているのであれば、人生はなんと虚しいことか…

そうであれば 私は、なんの努力も、摂生も しないことだろう (今でもしていないが…)

 

過去は変えられない ( 過去の意味付けということであれば、変えられるが…)

現在は、もちろん、変えられる。すぐに結果は出なくとも…

未来は…決まっていない と思う。

 

「…まだ存在していない未来の粗筋なんて、こわれもののガラス細工のように、もろいもののはずだから。」

この、最後の1ページを読んで、清々しい気持ちになった…